Letterpress Printing
想いが伝わる、人が繋がる、
そして未来へ残す
手にした瞬間、指先から伝わる温もりと質感のある紙。
紙の上に凛と佇む文字に目をやると、一見何の変哲も無い印刷のように見える。
時間の流れが少しだけゆっくりになった。
手の中の素朴な世界に魅せられていることに気づく。
よく見ると紙の上の文字が微かにへこんでいる。
へこみによる影のせいか文字の輪郭が際立ちインキは深みが増している。
平らな紙の上を規則的に並ぶ文字達が光と影を身にまとい、慎ましさのなかにどこか奥ゆかしくいつまでも見飽きることのない普遍的で美しい印刷。
活版印刷とは、凸版を用いてハンコと同様の原理で凸面についたインキを紙へと転写する印刷技術です。インキを出す量や印刷圧の強さ、機械の速度や紙の癖などにも気を配りながら熟練の印刷工が一癖も二癖もある古い印刷機を操り、風合いと美しさを両立させたクラシカルで印象的な印刷物に仕上げます。
手間と時間をかけ印刷されるこの活版印刷が、人の心に触れるコミュニケーションツールとして、人と想いを繋ぎ、これまでもこれからも未来へと残していきます。
現代の印刷技術の礎となる「活版印刷」。 その歴史は古く1000年以上も前から誕生していました。中国で生まれた印刷技術はアジアを中心に広がっていきましたが、漢字に比べて文字数が少ないアルファベットの文化圏で技術が成熟され、のちに日本に戻ってくる形で普及しました。
世界初のねんどの 「活字」が中国で誕生
活字の技術が日本に伝わる
グーテンベルクの功績でヨーロッパ全土に金属活字が普及し、「ルネサンスの三大発明」と呼ばれました
ドイツで活字を使った「新聞」が発行されました
長崎で「日本語」に特化した活字が製造されました
日本で活字を使った「新聞」が発行されました
DTP時代に突入し、活版印刷が急速に衰えました
衰退すると思われていた活版印刷ですが、現代では商業印刷からファッション、芸術的な印刷に姿を変えて再注目されています。最盛期は活字の摩耗を防ぐためにフラットな印刷が求められましたが、DTP時代に突入した後は活版印刷の凹凸による味わい深い表現を魅力に独自の路線を築きました。
1968年、たった一台の古い手刷りの活版印刷機とともに始まった山添。
以来、大阪を拠点に、昔ながらの活版印刷を用いた味のある印刷技術の提案から、デジタル印刷との組み合わせも得意とします。また、紙の選定や製本・加工といった要望に合わせた提案をするプリンティングディレクション。イメージを形にするグラフィックデザイン。物作りを楽しむ印刷ショップの運営など、企業や個人商店、クリエイターから一般の方まで多くの人に印刷の魅力を伝える取り組みをしています。